理想と現実
待ちに待ったクラシコだったのだが…。
バルセロナのスタメンは、
バルデス、プジョル、ミリート、マルケス、アビダル、ヤヤ・トゥーレ、デコ、シャビ、ホナウジーニョ、エトー、イニエスタ。
デコ復帰…。
グジョンセンは明らかに調子良かったのに、
この大一番で病み上がりのデコ…。
これは正解だったの…
一方、マドリーのスタメンは、
カシジャス、エインセ、ペペ、カンナバロ、セルヒオラモス、ディアラ、スナイデル、バプティスタ、ホビーニョ、ラウール・ゴンサレス、ファン・ニステルローイ。
ヘタフェ時代にシュスターはバルサを何度となく苦しめてきた。
バルサ対策ならお任せ!!
というよりも、相手に合わせて試合を作るのが得意。
徐々にその手腕を発揮してきているので、これからが本当の戦いなのかも。
今のバルサにおいて、
イニエスタをウイングで使うメリットは、
アタッカーのポジションが流動的になること。
イニエスタがサイドからドリブルで突破することではない。
バルサはポゼッションサッカーをしなくてはならないチーム。
それを実現させるにはポジションを流動的にしなくてはならない。
基本、どのチームも守備はゾーンとマンツーマンのMIX。
ペナルティエリア付近はマンツーマンで、
それより前のスペースはゾーンでというのが基本。
この守備を崩すためには、
本来いるべきポジションに選手がいない状態を作ることが重要。
ホビーニョ対策にプジョルを配置しても、
ホビーニョがセンターに入っていった時、どうするのか…?
マークを受け渡すのか、そのままケアし続けるのか…。
これがポイントとなる。
この手のシステムでの見本はセリエAのローマ。
トッティが意図的に中盤に下がり、中盤の数的有利を作り出す。
トッティをケアすべき相手のデフェンダーは自分のマークを失なってしまう...。
そこで、不利になった中盤を助けに行くと、スペースができてしまい、
そこを2列目から選手が飛び出していくという攻撃パターン。
では、バルサは…?
というと、
いつものようにイニエスタはポジションを代えたが、
今日は誰も右サイドに飛び出してこなかった。
プジョルはホビーニョ対策に追われ、ほとんど攻撃参加できず、
他の選手も効果的な動きができず。。。
もともと、イニエスタの空けたポジションに誰が飛び出すのか、
というローマのようなスタイルはバルサにはない。
レアルの弱点はサイド。
前線の3人は相手DFラインにプレスをかけることを基本としている。
ただし、
自分より後ろにボールがある時はほとんどプレスをしない。
しかし、
このクラシコでは違った。
まるで、
ウイングが相手SBにどこまでもついていく、
モウリーニョの時のチェルシーのように。
マルケス&ミリートへプレッシャーをかけずに、
センター3人のスペースを潰していた。
マルケス&ミリートはボールをキープ出来たが、
中盤を潰されているのでパスコースを探せずにいた。
そうなると選択肢は必然的に少なくなり、
中央への放り込み...か、
相手DFライン裏を必要に狙う...か、
ホナウジーニョの個人技に頼る...か。。。
エトーvsカンナバロ&ペペ。
どちらかがインターセプトを狙い、もう1人がカバーをする。
数的不利な上に、相手が抜群のコンビネーションを築いている状況でエトーは何もできなかった。
グジョンセンもメッシもジュリもいないから裏を狙う回数が圧倒的に少ない。
シャビがミリートのパスからラインの裏を取ったシーンもあるにはあったが、
いくらなんでも少なすぎる。
中央への放り込みも、エトーが競り勝てない、
まぁ、それをエトーに期待しても違うわなぁ〜。。。
なので、
選択肢は意地でも中盤でボールを回すか、ホナウジーニョ頼み。
イニエスタが空けたスペースを誰かが使えれば、裏に飛び出すこともできるし、
スペースも上手く使えるから、もっとパスも回せたはず。
ホナウジーニョは何度かさすがというものを見せていたし、
果敢に仕掛けていたが、周りがホナウジーニョを活かしきれなかった。
特にアビダル。
立ち上がりは何度もホナウジーニョを助けていたが、
いつの間にか消えてしまった…。
やっぱり、
ホナウジーニョとの相性は、ジオの方が良いのか…。
今のバルサのCBの基本は、マルケス&ミリートのコンビ。
守備の安定を重視した場合、そして、
自分達がボゼッションできうる相手の場合、
このコンビはまさにリーガ最強。
しかし、
リスクを冒し、攻撃に振舞わなければならない場合は、
ちょっと…。
攻撃的なプジョルをCBに回し、ザンブロッタをSBで使うべき。
そんなバルサが活路を模索している中、
逆にマドリーに先制されてしまう。
ニステルローイとバプティスタの見事なワンツーから…。
いまいち評価が低いが、
やはり、バプティスタの能力は認めるべき。
後半スタートからプジョルが積極的に攻撃に出る。
イニエスタの作ったスペースを上手く使うために。
ただ、プジョルがクロスを上げても、中央には競り勝てるCFがいるわけでもない。
2列目から飛び出してくるのはシャビだから…。
ミリートがまたもドリブルで駆け上がり、中央へ上げるが空中戦で勝てず…。
後半17分にデコを下げドスサントスへ。
それによって、イニエスタをがセンターへ。
こうなると、効果的なスペースなど作ることは期待薄。
マドリーからしても、センターの誰かがイニエスタを見ればいいだけになる。
デコ、シャビ、トゥーレ、イニエスタに注意しなければならなかったのだから、
それに比べればはるかに楽。
これ以降バルサはカウンターをくらうようになっていった。
後半30分くらいになると、
マドリーは無理をせず、ボールをキープするようになる。
当然といえば当然。
マドリーはきっちりとセンターを潰し、
バルサは自慢のパス回しを封じられ、
攻め急ぎ感、見え見え。
結局、最後まで活路を見出せず…
そのまま終了。
別に、バルセロナの試合だけを見てそう思うわけではないけども
(まぁ、ほとんどそうだが^^;)、
魅せて勝たなければ意味なし!
というかも知れないが、
この試合のように現実的に対策を取られてしまうと、
なかなか崩せるものではないなぁ〜と感じてしまう。
結局、個人技に頼わざるを得なくなるわけだし…。
個人技とスペクタクルなんて裏表だけど…^^;
まぁ...
“バルサの神”はそれでも勝て!!
と言うのでしょう...が…^^;