簡単に言うということは、凄く難しい。

よく、「もっと簡単に言ってくれ」とか、
よく耳にするけど、簡単に言えるなら、
みんなとっくに簡単に言っているはずだ。


高級なディナーを食べて「おいしい^^」と言う、
これなら誰でも言えるが…。
しかし、そんな簡単なことはめったにない。
簡単になんか、言えるものなど限られている。


だからこそ、どう言えばいいのか、
どんなふうに見れば良いのか、
どんな伏線を張れば良いのか、
どんな例えをすれば良いのか、
それぞれに、一生懸命に考えて試し続けていると思う。


「簡単に言えない」ということは、
ガキの頃には、理解できない。
凄く欲しいものがあって、親に
「テストで良い点取ったら買ってくれる?!」
なんてなことを、
簡単に言えるのは、子供だからだ。
それを言うことに、なんの恥じらいも抵抗もないだろう。
「約束する」という言葉の重さを、子供は理解していない。
ついつい約束を破ってしまう人間の弱さも、
子供は知らないから…。


きっと誰もが、
自分がはからずもつかざるを得なかった嘘を憶えている。
だから、人は嘘をつくものだということを
悲しみと一緒に知り、理解する。
その嘘が、人を傷つけるようなことになった場合には、
自分というものの恐ろしささえも知ることになる。
だからと言って、
その恐ろしさばかりを意識していたら、
自分も他人も、信用できないということになってしまって、
何も約束できなくなるし、何も決められなくなる。


そういう意味では、大人になっても、
子供の時のように、
約束をしては破り続けたり、
間違ったことを言っては痛い目にあったりしながら、
生きていくことを、覚悟しなくてはならない。
だからと言って、
なんでもかんでも簡単になんて、言ってはならない。


オレは、あなたを死ぬまで愛し続けます。
オレは、絶対に浮気はしません。
オレは、絶対に嘘をつきません。
オレは、絶対に人を傷つけません。
オレは、もう遅刻をしません。


こういったことを信じられますか…?!


人は、何かを簡単に言っている時に、
一番嘘をつき易い。
人は、物事を複雑に言っている時に、
そのことから逃げていることが多い。


ではどうすれば良いのか…
「信じてる」と言わせるのではなくて、
『疑わない』と思ってもらえる“大人”になりたい。